東北一周から2年目の春休み,今度は南の地方を回る計画をたてた。東北では,雪にも降られたが,九州なら大丈夫だろうと甘く考え,野宿を決行した。走りに走った,2000km。それは,寒さと峠と時間との闘いだった(少しオーバーだが・・)が,暖かな人達に支えられ完走することができた。
No. 月日 走行距離 積算距離 スタート ゴール 峠・山など 備考 3月22日(月) 須賀川 輪行(須賀川12:17発〜
明石9:38着)1 3月23日(火) 132.6km 132.6km 明石 高松 2 3月24日(水) 171.0km 303.6km 高松 高知 3 3月25日(木) 187.8km 491.4km 高知 宇和島 フェリー(宇和島〜
別府4:30着)4 3月26日(金) 187.8km 678.2km 別府 高千穂 阿蘇山 5 3月27日(土) 164.5km 843.7km 高千穂 宮崎 6 3月28日(日) 184.8km 1028.5km 宮崎 鹿児島 7 3月29日(月) 186.1km 1214.6km 鹿児島 八代 えびの高原 8 3月30日(火) 121.0km 1335.6km 八代 長崎 雲仙岳(終日雨) 9 3月31日(水) 182.7km 1518.3km 長崎 大宰府 10 4月01日(木) 182.9km 1701.2km 大宰府 防府 11 4月02日(金) 206.1km 1907.3km 防府 三原 12 4月03日(土) 100.0km 2007.3km 三原 岡山 雨&パンク2回 輪行(岡山19:59発〜
米沢20:47着)4月04日(日) 米沢
3月22日(月):
実家から,須賀川(12:17)→郡山→新潟(16:24)。郡山より同席した感じの良い女性は,2週間前に会津に嫁いだとのこと。ハワイへの新婚旅行が,突然の熱と腰痛で当日キャンセルするはめになり,後日,やっと行けたのは紀伊・白浜。YS11がたよりないとか,話してくれた。自分のコースプラン地図について関心を持ち,激励してくれた。秋芳洞はとてもお薦めだと言われたが,既に予定から外していた。会津で,その女性は「頑張ってね」と降りた。野沢(14:53)あたりから,どんよりとした曇り空。ちらちら雨,雪もところどころ残っており暗い雰囲気になる。そして,激しい雨となる。そんな時,子連れのお母さんが乗りこんできた。風船を持った子は母に「どうして風船は浮くの?」母「水素が入っているから浮くんだよ。水素は空気より軽いんだよ。空気は水素と酸素からできているの。酸素はお口から吸うでしょ。水素は軽いの。」と説明していた。窒素はどこにいってしまったのかなとは思ったが,とても微笑ましいやり取りであった。気分が和らぐ。新潟には,学生時代の友人荒生君が迎えに出てくれていた。Coffeeで一息入れたあと,居酒屋へ。4合以上は飲んだ。荒生君は餞別がわりだとおごってくれた。GWには,新調したロードの長距離試走を兼ねて米沢に土産話しを聞きに来るという約束を取り付け,21:23発の「きたぐに」に乗る。
3月23日(火):
米原に6:23。日の出。天気は上々のようだ。大阪(8:27/8:51)→明石(9:38)着。駅前にて自転車を組みたてる。淡路連絡汽船にて,10:30明石(駅より2〜300mだった。これなら,組みたてないで担いで歩いてもよかった)。10:53岩屋着。所要時間20分余り(目と鼻の先なんだからこんなものか)。自転車持込\150,料金\200。11:10:岩屋より出発。
3月24日(水):
栗林公園に寄り,11:00に金比羅宮入口着。数段飛びこししながら500段ほど上るが(365段あたりから上りやすくなる),時間の関係で引き返す。1365段あるので,とても最後までは上られん。ここで昼食を取り,12:00pm出発。 |
3月25日(木):
3月26日(金):
4:30に別府に着く。九州上陸だ。乗場待合室で5:00頃までだらだらする。外は暗く寒いのだ。明けの明星が輝いている。別府交通センターまで歩いていく。ラッキーなことに3Fで5:30〜7:30まで無料で温泉に入れる。洗髪もすませ,くつろいだ。朝食。7:00に出発。湯冷めしそうな感じなので気合を入れる。7:33に大分駅着。 |
有料道路(\80)を15kmほど上り,15:40に阿蘇山上に到着。この道は牛馬優先という看板がありうける。思ったより勾配は緩やかで,すんなり上れた。 |
天気良く素晴らしい眺め。米塚,草千里浜,山上(中岳)への最後の上りは,もの凄い急坂。最後の最後で,遂に自転車を降りて引く。世界最大のカルデラを持つ,阿蘇山はやはり雄大。外輪山,内輪山,外輪山と自分の足で越えて理解できた。しかし,後半は最高にしんどかった。17:00に高森町。 |
3月27日(土):
3月28日(日):
15:30,鹿角市着。しんどい,我ながら良く頑張る。雨が完全にあがる.。 |
3月29日(月):
雨に濡れた自転車に注油する。生き返る。昨日洗った靴は乾いていないが,はいて乾かす。野宿した鹿児島駅前は閑散としている。朝,寒くて目がさめた。西駅の方が大きく,構内で眠れたらしい。8:15,鹿児島駅発。火山灰が顔に当たる。9:40,223号線に入る。だらだら峠越えて,10:40,霧島神宮駅,11:15に霧島神宮着。8〜10%勾配を上って,12:20,高千穂河原着(標高970m)。しんどい。反対側から来た,4人組みのツーリングの人達と出会う。
13:40,\30の有料道路を経て,えびの高原着。14:15,えびの市白鳥着。猛烈なヘアピンの下りを一気に降りてきた。危うく,猫をはねそうになる。15:10頃,峠,ループ橋。上りも凄かったが,加久藤トンネル(1.6km)を抜けてからの,下りがまた凄い。えんえんと。16:03,球磨村入口。17:20,瀬戸石ダム。途中,休憩がてら横になり,空を見ていたら,気持ち良くなり寝入ってしまうところだった。「球磨川下り」ができるそうだが,四国で延々と川沿いに走ったので,特に興味を覚えない。18:13,今泉公民館前。18:33,八代駅着。本日の走行距離,186.1km。
3月30日(火):
5:30起床。八代駅内の,一人掛けの椅子が4個連続している箇所で寝た。宮崎駅と同じ型の椅子。良く眠れるものだ。構内なので,寒くてということもなく,まずまずであった。構内をツバメが飛びまわっていた。まだ外は暗い。5kmほど先の八代港まで行く。ここで,装備品のことを考える。あれば良いなと思った物は,1)エアーマット(地面の上でも寝れる),2)簡易テント(任意の場所で,雨でもOK,自転車も入る)。サドルに取りつけていた工具入れケースが壊れる。これまでの行程を考えれば無理もない。ここまで,自転車が無傷であってくれたことがうれしい。7:30,八代港よりフェリーで,8:40,松島着。自転車で,9:35,三角港着。ここから再びフェリーで,10:50,島原港着。フェリー内で,高倉健に似たじいさんに会う。60は越えているようだ。ぼろぼろに錆びた自転車を持っていた。熊本商大を出たらしい。東北の人間と九州の人間を比較してどうのこうの言っておった(何と言っていたのだろうか?)。島原城を見学し,11:14,再び外港前経て,57号線に入る。雲仙まで20kmとある。11:43,左膝の痛みがひどく,向かい風に悩まされる。だらだら上りに疲労感。軽トラックのおじさんが,「乗ってかんか?」と声をかけてくれる。雨も降りそうだ。心が揺れたが,頑張ってみますと,お礼を言って断る。少し休憩後,また上りはじめる。次第に,上り(辛さ)に慣れてくる。痛みもおさまり,休まず上り切る。上りがあれば,いつか,下りがあるさ。雲仙温泉,雲仙地獄見物。標高700mを越えている。ここで,温泉玉子とコーヒー牛乳を。いたるところから蒸気が出て,硫黄の臭い。雨が降りだし,下りだがスピード出せず。14:55,愛野展望台着。15:57,本諫早駅着。愛野峠を越えてから,雨は本降りに。びしょ濡れ。上半身は,丸ごと着替える。長崎まで,あと26km。16:27出発,17:23,長崎市街入り口。雨はすごいは,向かい風。快走ならぬ重走。
18:10,長崎駅着。東長崎より長崎までは,平地だろうと思いきや,上る上る,ずっと上ってトンネル抜けて,下って下って長崎駅だ。本日の走行距離,121km。銭湯で,入浴と洗濯。冷えた体を温める。しかし,外は寒い。湯冷めしそうである。長崎まで来て,気持ちが抜け始めているような気がする。今日まで8日間走ったわけだが,一日平均167km走っている。メーターの数値を気にしながら。メーターを持ってきたことがいけなかったのかなと思う。しかし,メーターがなかったら,ここまで頑張れなかったかもしれない。八代で出会った某氏から,「山陰にはまだ雪が残っている。溶け出した水は夜凍る」と言われ,そっちのほうは,もう投げ出している。しかし,その時になったら,それを無視して走ってしまいそうな気もする。・・。何を好んで,峠を上るのか?・・・・。本日のねぐらは,長崎駅の端の方で,たたんだ屋台のおかれていた場所。壁はないが,雨に濡れないだけでもgood。洗濯物を干す。寒いので,おでんやで,おでんと焼酎のお湯割り,ねぐらに戻るのが寂しいので2軒まわる。24:00頃,寝る。
3月31日(水):
4:40に起きる。ブレーキシューを交換する。注油し磨く。6:30,長崎駅を出て,市内観光。原爆落下中心地→平和公園→浦上天主堂→稲佐山外人墓地→諏訪神社→眼鏡橋→26聖人殉教地。8:50には,再び駅に戻り,朝食を食べ,9:23出発。市内の混雑があり,スピード出せなかったが,10:00頃より,市内を抜けてすいてくる。10:29,琴海中学あたり。左膝が痛い。11:23,大串,11:49,大村湾県立自然公園の西海橋。13:18,有田。赤絵,青華,青磁,白磁という名の4つのトンネル。永尾から,ずっと下り続いて,武男市内に入って平坦路,30km/h以上で快走。14:44,江北町山口。ネーブル2つをご馳走になる。15:44,佐賀八幡宮着。17:25,鳥栖市田代本町着。17:48,福岡県筑紫市に入る。18:30,大宰府駅着。本日の走行距離,182.7km。
4月1日(木):
6:50,駅員に起こされる。寒いし,湿っていて,寝ぼけていたので,何言われたか忘れたが,きっと迷惑だったのだろう。とても冷え込んでいる。天満宮で梅ヶ枝餅を食う。おみくじを買う。「旅行・・途中にて悩みあり」と出る。縁起でもない。8:02,国分寺出発。8:35,博多駅着。9:45,福間町着。足が死にかけている。朝食。宗像,遠賀,おんががわ橋,11:30,水巻町着。昼飯。12:05スタート,12:43には若戸大橋に着くが,自転車では渡れないことを知る。迂回して,渡し場より\40で渡る。14:12,和布刈公園着。関門橋が見える。60.1m地下までエレベーターで降り,780mの人道を渡る。山口県側に出る。壇ノ浦の古戦場跡らしい。15:13,小郡着。岡崎八幡宮寄って,宇部市経由,16:54,山口市。18:00,防府着。駅に寝れそうである。風呂の場所も教えてもらう。本日の走行距離,182.9km。風呂屋で見知らぬおっちゃんが,後ろから見てて,「何かやっとるでしょう。普通の人と体が違う。均整取れてるね。」とほめてくれた。前から見たら?
5:30起床。外は寒いが,駅構内は暖かく良く眠れた。6:30出発。徳山経て,10:20岩国(錦帯橋)着。しばし混雑。11:38に宮島桟橋。大鳥居が見える。もみじ饅頭を食べる。マズイ。13:00に広島の平和記念公園。国道2号線を走るが,脇を通る大型トレーラーにびびる。リュックからはみ出していたトレーナーの袖が風になびき,トレーラーの横に触れたらしく,泥がついていた。本当に恐い。15:05にパンク。交換したチューブが又不良にて,修理に1時間を費やす。17:35三原駅前。パンクによる1時間のロスが大きい。本日の走行距離206.1km。駅前のバス乗場の椅子はソファーのようになっており,快適だった。
4月3日(土):
7:20三原駅前を出発。激しい雨。それでも,3.5kmほどの坂をぐるぐる上って,千光寺公園に行き,展望台より尾道城や港を見る。9:40福山駅着。バケツで水をかけられながら走っている状態で,ポンチョも役にたたず,全身びしょ濡れである。うらめしきダンプカー。岡山までの距離は60km。向い風も強くなりめげそうである。12:00頃,倉敷市に入る。見学する余裕はない。12:39,前日に続きパンク。強雨のなか500mほど引いて歩き,ジャスコの軒下で修理。昼もここで済ませ13:48発。
14:10に岡山市着。道を間違え,14:35にようやく市内へ。15:00に後楽園着。見学。雨に濡れた体は冷え切り疲労感ただよう。総走行距離も2000kmを越えた。ここ岡山を今回のツーリングの終点とした。
コインランドリーで洗濯,そして風呂に入る。19:59発のこだまに乗り,22:34大阪着。23:30発の立山5号に乗りこむ。
4月4日(日):
糸魚川7:08/8:08,柏崎10:04/11:04,新潟13:45/16:40,米沢20:47着。
コースプラン地図
作成日は,1982.3.4となっているので,決行の約1ヶ月前の時期である。この時は,四国・九州・中国地方の全県を走破しようと思っていたので,16日間で2500kmのコース案になっていた。実際は,中国地方全県を諦め,山陽地方に限定した。できれば,自転車でのスタート地点(明石)にゴールして1周としたかったが,体調・天候・パンクなどの関係で,岡山ゴールとなった。3/22に実家を出て4/4に下宿先に着くまでの2週間。自転車での走行は12日間。電車やフェリー以外は,全て野宿で敢行した。